
小児がん患者の子どもが描いた絵
2006年の設立当初は、小児がん領域に臨床心理士が常駐する例がありませんでしたが、私たちは臨床心理士の重要性を認識しており、小児がん病棟に専任の臨床心理士を配置する「カウンセリング&サポートプログラム」を活動の基幹プログラムとして位置付けました。そして、活動を通して小児がん領域における臨床心理士の重要性を発信し続けてきました。
2012年より行われている「小児がん拠点病院の整備について」において、臨床心理士の配置が言及され、ようやく小児がんに携わる臨床心理士の存在の重要性が国家的に認められるまでになりました。
厚生労働省 「小児がん医療・支援の提供体制のあり方について(報告書)」
P.13
小児がん拠点病院の要件について
(2)診療従事者 専門的な知識及び技能を有するコメディカルスタッフの配置
カ チャイルドライフスペシャリスト、小児科領域に関する専門的知識を有する臨床心理士や社会福祉士等の療養を支援する担当者を配置していることが望ましい。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002iraf.html
これは私たちの活動が目指してきた「全国どこの小児がん病棟にも臨床心理士が当たり前のようにいる」ということを実現させる第一歩だと考えます。先駆けであったシャイン・オン!キッズのスタッフの松元、岡田が、2013年にそれぞれの派遣先であった大阪市立総合医療センター、国立成育医療研究センターの職員として正式採用されたことをもち、この活動のゴールを達成したと捉え、本プログラムを完結するに至りました。
東京(2007年4月~)と大阪(2010年4月~)で行なわれたカウンセリング&サポートは、シャイン・オン!キッズの臨床心理士によって構築されました。小児がんの子どもたちとそのご家族を、病気の診断から退院、通常の生活に戻るまで長期にわたりサポートするプログラムです。
カウンセリング
- ベッドサイド・カウンセリング:いつでも気軽に話ができるように臨床心理士が毎日ベッドサイドを訪れ。個室での面談も可能。
- 家族向けグループ活動:家族を対象とした勉強会や茶話会を定期的に開催。他の家族と知り合い、情報を共有する場として、ちょっと一息入れる場としての利用。
サポート
イベントなどを定期的に開催し、子どもたちを勇気づけ、生活の質を向上させるお手伝いを行うものです。
例:シャイン・オン!ブック・クラブ、シャイン・オン!イングリッシュ・クラブ、有名人の病院訪問(東京)など
医療スタッフの配置-臨床心理士
小児がんの治療には様々な形の心理社会的ストレスが伴います。そのため、小児がん病棟では臨床心理士の存在が必要であると言われています。
欧米ではほとんどの病院で臨床心理士、ソーシャルワーカー、聖職者等からカウンセリングを受けられますが、日本では一般的ではありません。患者がカウンセリングを希望しても、容易に受けられるシステムが確立されていないのです。臨床心理士を雇用したくても多くの日本の病院にはその金銭的余裕がない、というのが現状です。
そこで、シャイン・オン!キッズが臨床心理士を雇用するコストを負担し、病院に派遣するという形をとります。
また、シャイン・オン!キッズのスタッフでもある臨床心理士が病院に常駐していることで、常に病院のスタッフと協力してスムーズにプログラムを行うことができます。
シャイン・オン!キッズの臨床心理士は、小児がんの子どもたちとそのご家族に特化したサポートのパイオニアです。東京都世田谷区の国立成育医療研究センター(NCCHD)での3年間の研究と実務経験を基にトレーニングシステムを構築しました。NCCHDでトレーニングを受けた臨床心理士を別の病院へ派遣することも行ってきました。
プログラムの概要
ゴール | : | 治療過程にある小児がんの子どもたちとそのご家族の生活の質を最大限に高めること |
ニーズ | : | 小児がんの治療には様々な形の心理社会的ストレスを伴うが、気軽に相談できるシステムがない |
内容 | : | シャイン・オン!キッズの臨床心理士が、院内で子どもたちやご家族に寄り添い様々な相談にのって支援する |
プログラム リーダー |
: | 松元和子(大阪) |
期間 | : | 東京・国立成育医療研究センター(2007年4月~) 大阪・大阪市立総合医療センター(2010年4月~) |
お問い合わせ
当プログラムについてのお問い合わせは、シャイン・オン!キッズ(info@sokids.org)が承ります。各病院へのお問い合わせはご遠慮くださいますようお願い申し上げます。